中性浮力って何?

中性浮力とは、ダイバーにとって絶対できなければいけないスキルの一つです。

中性浮力は、水中で浮きも沈みもしない状態のこと。中性浮力がとれるようになると、宇宙遊泳のように無重力の状態でふわふわ浮いていることができるようになります。

ダイビングは勝ち負けがあるスポーツではなく、自分の体力やペースに合わせて楽しめる趣味です。
性別も年齢も関係なく楽しめるところが、魅力の一つといえます。
ですが、勝ち負けはないといってもダイビングも上手な人と、そうではない人のスキルの差はあります。
それは中性浮力がしっかりコントロールできているかどうかで決まります。

なんでできないの?

ダイビングを始めたばかりですと、水中でバランスを取ったり中性浮力を取ることが難しく感じる方も多いと思います。
どうして、できないのでしょうか?
原因は、1、水中の姿勢 2、BCDの操作 3、呼吸 です。一つ一つ解決していきましょう!

1、水中の姿勢

まずは水中での姿勢です。なるべく水底と平行になるように姿勢をたもって、トリムを維持できるようにしましょう。
上体を起こして泳いでいると少しずつ体は浮き上がり、BCDから排気をしなければいけなくなってしまいます。逆に、中性浮力になってない状態で水平姿勢になっても沈んでしまいます。

インストラクターを気にしすぎてしまって、上体が起き上がってしまうようでしたら常に顔を上げている必要はないので、視野の上の方でインストラクターが視野に入るようにしてみてください。

自分では水平姿勢になっているかわかりずらい場合もあると思います。インストラクターに水中で合図をもらえるようにお願いしてもいいかもしれませんね。自分で思っているより、頭を下げないと水平姿勢になってないことが多いです。
中性浮力で姿勢がよければ、ゆっくりとフィンキックをするだけで、スーッと進むはずです。

あとは、シリンダーが常に背中の中心にあることを意識すること!
水中でバランスをとることを難しく感じているダイバーは、意識できてない人が多いです。

中性浮力がとれないから上体を起こす→バタバタとずっとフィンキック→浮く→急激な浮上→急劇な排気→沈む・・といった悪循環になりがちです。
まずは、落ち着いて姿勢を正してみましょう。

2、BCDの操作

BCDの操作がうまくできていないという方も。急激な給排気をしてしまう人を多く見ます。
少しずつ操作をしていきましょう。
浮き沈みにタイムラグがあるということを理解しておく必要があります。
空気を給排気したからすぐに体が浮く、沈むというわけではありません。わずかな時間差があるのです。自分が今浮いているのか、沈んでいるのかを気付けるようになるのが大切です。

BCにポン、ポンと2回くらい押す(一気に給気するのではなく何回かにわけて短く入れます。)→少し息を吸うとゆっくりとふわ~っと浮いてくる。息を吐けばゆっくりと沈む・・といった状態になるように調整をしましょう。

深場に移動していくときは、BCDに少しずつ空気を入れて調整。呼吸でコントロールできるくらいまで少しずつ入れましょう。

浅い場所に移動すると、空気が膨張して浮きやすくなります。給気の逆で、少しずつ排気していき来ましょう。
排気するときのポイントは、姿勢です。左肩をあがるように、インフレーターホースを持ち上げて排気しましう。ボタンを押しただけでは、排気されていない場合があります。

給排気の量とタイミングがポイントです。

3、呼吸

緊張などで力が入りすぎていて呼吸が早い場合などは、なかなかうまく調整ができません。
まずは、正しい呼吸が身に付いていること。自分がリラックスしているときの呼吸が水中で自然にできるように意識してみてください。

エントリーしたら、まずは一度呼吸を整えましょう。心拍数がしっかり正常になるまで、動き回ってはいけません。
ダイバーの緊張が高まるポイントは、エントリーから潜行終了まで。自分を客観的にとらえられるようになってみましょう。

リラックスしたら、息を吸えば少し浮くし、吐けば沈むくらいの状態にBCDを調整しましょう。その上下の感覚がわかることがとても大切です。

BCDに頼りすぎてしまわないように、中性浮力をBCDだけで何とかしようとするとバタバタしてしまいます。
中性浮力をとるためにBCDは必要な器材なのですが、ダイビングが上手い人ほど、呼吸を使って浮力調整をしています。
7割くらいをBCDで、残り3割を呼吸でコントロールする感じでしょうか。
「大まかな部分はBCDで、細かい調整は呼吸を使う」といった感じです。

ただ、「浮力調整に呼吸を意識しすぎてしまって苦しい」というのはまた違います。苦しくない範囲で、調整できなけれないけません。

まずはリラックスすること!これ、大切です。

中性浮力、できると いいこといっぱい!

1、疲れないし、エアーが減りにくくなる

エアーが少なくなってしまう原因は、緊張やストレス以外にも中性浮力ができないこともあげられます。
中性浮力ができない→浮こうとして足をずっとバタバタさせる→息が上がる→エアーが減ってしまう・・ということです。
中性浮力がとれれば、ダイビングは疲れません。

2、サンゴを破壊しない

リゾートの一面のサンゴ礁・・・。ダイバーのあこがれではありますが、サンゴはとてももろいです。
ダイバーがちょっと触れてしまったり、フィンの先が触れてしまっただけでも、簡単に折れてしまいます。

3、砂を巻き上げない

砂地にはったように泳いでしまうと、砂を巻き上げてしまいます。せっかく透明度が高く青い海でも、後ろの人は何も見えなくなってしまいます・・。
みんなで写真を撮っているときなどは特に気を付けていかないと、生物を吹き飛ばしてしまったり、舞い上がった砂で写真がとれなくなってしまいます。
自分が泳いだ後がどうなっているのか、時折振り返ってみてみましょう!

水中世界を思いっきり楽しむためには、必須の中性浮力!ぜひ、マスターしてくださいね。

中性浮力をマスターするためには、ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー(PPB)の受講をおススメします。